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①プロ意識 |
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試合に選手を集中させる
今でもはっきり覚えている言葉がある。
「マッちゃん、日本代表にホペイロがいたらワールドカップ(W杯)に行けたかもしれないよ」
93年10月、W杯米国大会予選で本大会出場を逃した「ドーハの悲劇」の直後、帰国した日本代表の柱谷哲二さんの言葉だ。僕がヴェルディ川崎のホペイロになって駆け出しの頃で、サッカー以外のことにとても気を使ったと聞かされた。選手が試合に集中できる環境作りこそが、ホペイロの仕事だと肝に銘じた。
サッカーに詳しい人は知っていると思うが、「ホペイロ」はポルトガル語で、日本語では「用具係」と訳される。スパイクのケアや、ボール、ユニホーム、練習用具の管理が主な仕事だ。
僕がこの世界に入ったのは運命だったのかもしれない。91年に日本リーグの試合を見た帰りに、当時読売クラブのホペイロのベゼーハさんが荷物搬入用通路から出てきた。いつかサッカーに関係する仕事をしたいと思っていたから、この職業も、この小柄なブラジル人のことも知っていた。連絡先を聞き、サラリーマンの傍ら、時間があれば手伝いに通った。
正式に契約してまず練習場の選手のロッカーキーの暗証番号を覚えた。ベゼーハさんはスパイクの磨き方やロッカールームの整頓方法を工夫し何よりも勝利を目指した。「選手は手ぶらで来て、手ぶらで帰る」。選手が気持ちよくプレーできる環境も、ヴェルディ川崎の常勝に貢献していた。
ベゼーハさんは日本に8年いた。僕はそのプロ意識を受け継ぎ、この仕事に誇りを持っている。試合会場にユニホームを忘れていったら即解雇、と思っている。 名古屋に移った今、自分に甘えが出ないように1年契約にしている。(名古屋グランパスエイト)
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